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緑内障

緑内障とは

緑内障とは

網膜から入る情報は視神経を通して脳に送られます。この視神経に障害が起こり、徐々に視野が狭くなる疾患を緑内障と言います。病気の進行は非常にゆっくりで、片目ずつ症状が進行していきます。また、深刻な状態になるまで自覚症状がほとんどないのも特徴の1つです。
緑内障の発症は中高年に多く、40代以上になると発症リスクが高まります。また、病気の進行によっては失明に至ることがあり、日本における中途失明原因の第1位にも挙げられます。一度失われた視野や視力は元の状態に戻すことができません。
このため、早期発見と適切な治療を行い、病気の進行を抑えることが重要となります。

緑内障の原因・種類

発症の主な原因は、明確に分かっていません。発症の要因とされるのは、眼圧が高い、加齢、高血圧、低血圧、糖尿病、強度近視、片頭痛、睡眠時無呼吸症候群などとされています。その他、遺伝や炎症、薬剤の影響、外傷などが関与しています。また、緑内障には以下の種類があります。

開放隅角緑内障

房水を排出する際に、フィルターの機能を果たす線維柱帯が詰まることで眼圧が上がり発症します。病気がかなり進行するまで自覚症状がほとんどありません。このため、早期発見が困難な緑内障とされています。緑内障の約85%が開放隅角緑内障です。

閉塞隅角緑内障

房水が排出する隅角が狭くなる緑内障です。主な症状は、目の痛み、目のかすみ、頭痛などが現れます。適切な治療を行わずに放置すると、失明に至る可能性があります。早期発見・早期治療が重要となります。

急性閉塞隅角症・急性閉塞隅角緑内障

房水の出口が閉塞して、排出が滞り房水が溜まって眼圧が急上昇した状態です。急激な目の痛みや頭痛、吐き気などの症状が起こります。緑内障発作とも呼ばれる状態で、速やかに適切な処置を行わないと、発作から数日以内に失明を起こす恐れがあります。
上記の症状が脳卒中と似ているため、脳神経外科に救急搬送されることがあります。この場合、充血や瞳孔不同、角膜混濁、中等度散瞳、対光反射消失などの状態を観察して区別していきます。薬物療法による降圧やレーザー治療、白内障手術によって迅速に閉塞を解除する日露応があります。

正常眼圧緑内障

開放隅角緑内障のうち、眼圧値が正常なものを正常眼圧緑内障と言います。日本人の正常眼圧値(中央値)は、14mmHg辺りとされています。国内の緑内障罹患者の約7割が正常眼圧緑内障です。初期症状として、視野の中心から離れた部位小さな視野欠損が生じます。
まだ自覚症状がなく、徐々に時間をかけて視野が欠けていきます。片方の目に視野欠損や視力低下が起きても、もう片方の目で視野を補うため病気が進行するまで気が付かないこともあります。一度失われた視野は取り戻すことが難しいため、早期発見・早期治療が非常に重要になります。

続発緑内障

糖尿病などの全身疾患や、網膜剥離や角膜疾患など眼科疾患のほか、ステロイド剤の影響などによって眼圧が高くなって発症する緑内障を、続発緑内障と言います。このため、糖尿病などの疾患がある方は、定期的に眼科の検査を行うことが大切です。眼圧値が変動することが多いため、治療をしながら経過観察を行います。

小児緑内障(発達緑内障)

生まれつき、または発達異常によって眼圧が高くなり、発症する緑内障を小児緑内障(発達緑内障)と言います。1歳までの発症を早発型小児緑内障と言い、10~20歳代に発症するのを遅発型小児緑内障と言います。
成長段階において深刻な視力障害を起こすのを防ぐためには、乳幼児期における眼科検査が非常に重要です。

緑内障検査について

検査

緑内障の検査には、眼圧検査や眼底検査、隅角検査、視野検査、光干渉断層計などを行います。検査を全て行い、目の状態や疾患の進行度など総合的に診断していきます。
治療開始後も、経過観察を行うために定期的な検査が必要です。

緑内障の治療・手術

レーザー治療と手術は本院(小江戸眼科内科)で行います。

点眼薬

緑内障の治療に用いる点眼薬には、房水の生産を抑える薬や排出を促す薬、瞳孔収縮と隅角拡大効果がある薬、視神経機能を高める薬など、様々な効果が期待できる薬があります。
患者様の状態やライフスタイルに応じて薬剤を組み合わせることで、高い効果を得ることも可能です。点眼薬治療においては、治療効果を高めて副作用を抑えるためにも、医師の指示に従って点眼してください。

レーザー治療

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)

線維柱帯が詰まって、房水の排出が滞ることで起こる解放隅角緑内障の場合に、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)を行います。特に、治療初期の方や点眼治療が困難な方、眼圧加工が難しい方などに有効です。治療における所要時間は10分程で、ほとんど痛みもありません。

LPI(レーザー周辺虹彩切開術)

房水の出口が狭くなることで起こる閉塞隅角緑内障の場合に、LPI(レーザー周辺虹彩切開術)を行います。虹彩に小さい孔を開けて房水の排出を促します。特に、若い世代の閉塞隅角症の方、すでに片目に急性閉塞隅角症を起こしている方、緑内障発作の経験がある方などに用いられる治療法です。
治療における所要時間は10分程です。

マイクロパルスレーザー(マイクロパルス経強膜毛様体光凝固)

毛様体を光凝固して、房水産生を抑えます。結果、眼圧を下げることが期待できます。従来の光凝固術は、難治性緑内障における眼圧低下が可能でしたが深刻な副作用も起こることがありました。このマイクロパルスレーザーを用いることで、安全性を維持しながら周辺組織の侵襲を少なくすることができます。何回も緑内障手術をしても眼圧降下しない方、緑内障手術が難しい方などに有効です。治療における所要時間は、10分程で終了します。

手術治療

低侵襲緑内障手術(MIGS)

最新の医療器具を用いた低侵襲の緑内障手術を行います。従来の緑内障手術よりも、治療における所要時間も短く、術後の経過も改善し深刻な合併症を回避しやすくなりました。従来の治療に比べると眼圧降下がやや劣るというデメリットがありますが、点眼薬治療を併用しながら眼圧を下げていきます。
また、白内障手術を同時に実施できるため、患者様の心身の負担を大幅に軽減できます。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

低侵襲緑内障手術をしても眼圧降下が見られない場合には、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)を検討していきます。眼圧が高い、眼圧は正常だが視野障害が進んでいる、どの緑内障治療を行っても改善が見られない場合に行います。結膜と強膜、線維柱帯と虹彩の一部を切開します。
この切除術によって、房水が結膜の下から血管に吸収されるようになり、眼圧を下げることができます。

インプラント手術(エクスプレス・プリザーフロー・アーメド・バルベルト)

上記の手術治療では、眼圧が降下しない難症例の場合に、インプラント手術を検討します。インプラントを留置することで房水の流れを促します。バルベルトインプラントは、合併症が起こらない限り一生涯使用できます。高度な技術と豊富な手術症例を有する医療機関のみ手術が可能です。

白内障と緑内障の同時手術

白内障のほとんどは加齢による老化現象として現れることから、80歳以上の方のほぼ100%は白内障とされています。40歳を超えると白内障の発症リスクは高まります。また、緑内障も40歳以上になると発症リスクが高く、約20人に1人は緑内障にかかっているとされる程です。
検査をすると、白内障と緑内障を同時に発症していることも少なくないです。その場合、白内障と緑内障の手術治療を同時に行うことが可能です。病態に応じて負担の少ない方法を検討いたします。

緑内障になりやすい人

目への血流が悪化すると眼圧が高くなりやすく、緑内障を発症しやすいとされています。以下のような生活習慣がある方は、緑内障の発症を防ぐためにも改善が必要です。

うつぶせ寝

眼球を圧迫するうつぶせ寝の姿勢は、眼圧上昇を起こし視神経に負荷がかかります。

枕が高い

枕が高いと、目や脳への血流が悪化して眼圧上昇を起こしてしまいます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群によって、目や脳は低酸素状態に陥ります。これによって眼圧上昇を起こし、視神経に負荷がかかります。睡眠時無呼吸症候群は、様々な疾患の発症リスクが高いとされています。睡眠時の無呼吸やいびきなどで周囲から指摘された方は、まず医療機関を受診してください。

長時間のデスクワーク

長時間のパソコンやスマートフォン、タブレットなどモニター画面を眺める姿勢、下向きの姿勢は首や頭、目への血流が滞り、眼圧上昇を引き起こしてしまいます。

喫煙

たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は、動脈硬化や高血圧を引き起こします。また、ヘモグロビンの機能が低下して血流が滞り、栄養や酸素が不足してしまいます。血流が悪化すると眼圧が上昇するため、緑内障を引き起こしやすくなります。また、喫煙による活性酸素によって、目への大きなダメージを及ぼします。